日本の住宅に影響を与えている米国の住宅を床面積を中心に詳細に調べ、日本の住宅との類似点、相違点についてまとめた。 分析対象は、いわゆる建売住宅とし、日本の住宅として仙台近郊で建売住宅を建設販売している大手ハウスメーカの住宅を取り上げた。また、米国の住宅については住宅建築予定者向けの図面集にプランを掲載している設計事務所より詳細な図面を購入した。 延べ面積の平均値がそれぞれの国の持ち家の平均値と等しくなるように抽出した日本の住宅32戸と米国の住宅12戸を対象として比較を行った。延べ面積の平均値は、日本の住宅132.62m^2、米国の住宅181.84m^2であった。また、住宅内の各空間は、食事や団らんなど家族共通の場である公室、就寝などの個人生活の場である私室、浴室などの水回り、押し入れ、物入れなどの収納、玄関、廊下などの通路をホールとして、各空間に分けて日米の住宅で延べ面積に対する比率を求め比較した。 住宅の間取りを概観すると、日米の住宅とも公室と私室を分離して設けている点は類似しているが、米国住宅においては夫婦の寝室が広さの点においても専用の浴室を持つなど、設備的にも最も重視して造られている。各空間の延べ面積に対する比率は、日本の住宅では私室、公室および水回りの比率が低く、ホールと収納空間の比率が相対的に高かった。日本の住宅には必ず1階に和室が設けられているが、この部分の床面積を公室と考えることによって、米国の住宅と各空間の構成比率が類似してくることなどを示した。今後とも日本の住宅規模が拡大し、海外居住経験者や洋室で育った世代が住宅を求める時代になると、この部分がダイニングルームなどとして洋室化し、日本の住宅においても公室空間がより一層充実してくる可能性があることを示した。
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