研究概要 |
本研究は研究期間は2カ年であり、平成5年度は第1年目にあたる。本年度は当初計画のとおり、消費者を対象とした「衣料品の通信販売に関する調査」を実施した。調査対象は首都圏および中京圏在住の若年、中年、高年層の男女約2,000名である。回収数は1,615票、回収率は約80%で、高率の回収結果であった。 通信販売の利用経験率は予想以上に高く、経験ありは約8割であったが、男女差は大きく、女性は約85%利用経験があったが、男性は44%にとどまった。年齢別出は、当初、若年層での普及を予想していたが、どの年齢層も利用経験率は高く(但し、調査対象者の約87%が女性である)、8割〜9割に及んでいた。通信販売業が本格的に進展しはじめたのは70年代以降といわれるが、通信販売という購入形態はほぼ女性層を中心に定着しつつあることを物語っている。また、通販とライフスタイルとの関わりを、共働き世帯を通してみると、利用率は共働き世帯約91%、非共働き世帯約83%で、大差ではないが共働きで若干上回っている。女性の職業進出に伴い、通販における利便性への期待は強まるものと思われる。通販利用の三大要因は価格性、情報性、利便性であった。 衣料品における通販の利用経験率も高く、全体で約83%であったが、男女差はさらに大きく、女性は約88%、男性は約30%である。通販で衣料品を購入しない理由の最大のものは「試着しないと不安」(約7割)で、その他、風合い、縫製の良否、色柄などがわからないというものが3割強を占めており、衣料品通販の最大の課題はカタログを商品の実物にいかに近づけるかであろう。なお首都圏と中京圏の利用率の地域差は見られなかった。 カタログ調査は38社にカタログ請求をして15社から送付された。現在集計中である。また、次年度の通販業者調査の準備も兼ね、業界トップのS社に聞き取り調査を行った。
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