1.環境管理方法論と科学 地域環境管理を対象に研究を進め、学問の論理と環境計画の論理と行政の論理の3者の相互関連に着目した。現在地域環境政策の転換期と言われているが、1970年以降の歴史的な総括を行い現在の政策の問題点を探り、転換の意味を分析し、学問や大学がその転換にどのように係わるべきかを論じた。事後的対処から予防的対応への転換、直接規制から総合管理への転換のプロセスに置いては学問の果たすべき役割は大きく、研究者自らが地域における研究機能の社会的設計を行う必要があり、その基本的な考え方をまとめた。 2.環境管理方法論と技術 日本が1970年以降どのような環境技術を後押しし誘導してきたかを論じた。その際環境基準、排出基準の決め方と「環境技術」の関わりを検討した。誘導された「環境技術」は「末端処理」なのかそれともCP(Cleaner Production)なのかは大切な論点であった。得られた知見をもとに、これからの「環境基準」のあり方と「環境技術」のあり方を議論した。 3.自然と人間、科学・技術と環境教育 自然と人間の関連形態を歴史的に検討し、その文脈で科学・技術の位置づけを考案した。現代の環境問題の特徴は、歴史に把えることによりさらに鮮明になることと思う。環境教育がたんなるマニュアルとして教えられるのではなく、歴史的に深い根を持ち、いわば文明の問題として把えられることにより、より根本的な対応を可能にする。その点を実践も踏まえ検討した。
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