最終年は文字通り出版のためにかけられた。その一つ『科学技術の戦後史』(岩波新書)ははじめ占領期における占領軍による科学技術政策の路線のひかれる経過を主題とし、つまりこの科研費の報告として企画したが、時あたかも戦後50年に当たり、出版社の要望により、戦後50年を大観するものに仕上げたが、実は最初の企画が占領期に限るものであったため、占領軍のビヘイヴィアについて基礎資料を使って述べた部分が、書評の上でももっとも好評であった。 さらに、年来の共同研究である『通史:日本の科学技術』(全5巻、学陽書房))の第1巻は序章とともに、私がほとんどを書いた占領期に当てられた。『科学技術の戦後史』はむしろそのプレビューにあたる。
|