研究概要 |
本研究の目的は、高齢者の立幅跳および垂直跳における下肢関節角度や関節パワーの変化を画像解析法,フォースプラットフォーム法,筋電図法によりとらえ,高齢者における下肢動作の協調性の変化をとらえることである。 方法:被験者は茨城県在住の健康な男性33名(62歳から86歳)で,年齢により60歳代(60s),70歳代(70s),80歳代(80s)の3群に分けた。フォースプラットフォーム(Kistler社製,Type9281A)上から立幅跳および垂直跳を全力で行わせた。そして,被験者の側方から高速度VTRカメラ(Nac社製,HSV-400)を用いて被験者の跳躍動作を毎秒200コマ,露出時間1/2500秒で撮影した。また,ひふく筋,大腿直筋から筋電位の導出を行った。得られたデータから,股,膝,足関節の関節角度,関節モーメント,パワーなどを算出した。 その結果,立幅跳の踏切における足関節の伸展,大腿および足の前傾,下肢関節の伸展パワーおよび伸筋群のコンセントリックなパワーの最大値は加齢にともなって減少すること,伸筋群のエクセントリックなパワーは加齢の影響をあまり受けないことなどがわかった。また,下肢関節の伸展のタイミングは,股,膝,足の順で加齢による相違は認められなかったが,二関節筋群によるエネルギーの伝達を示唆する離地直前の股および膝関節の負のパワーは,有意差はなかったが,加齢にともなって減少する傾向がみられた。 垂直跳については,現在,データ処理を継続して行っているところである。
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