研究課題/領域番号 |
05680073
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
齊藤 愼一 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (80114081)
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研究分担者 |
徳山 薫平 筑波大学, 体育科学系, 講師 (00207565)
鈴木 正成 筑波大学, 体育科学系, 教授 (90015842)
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キーワード | 高炭水化物食 / 高脂肪食 / 食事誘発性体熱産生 / 運動 / エネルギー消費量 |
研究概要 |
肥満の人々の減量にとって、運動はその実行時ばかりでなく終了後も引き続き数時間にわたってエネルギー代謝を活発化しつづけるので、運動と食事のあり方は減量プログラム作成に重要な問題である。これに関して、食事誘発性体熱産生(DIT;エネルギー消費)が運動により促進されることが知られている。実際上では、運動を1日のどこで行なうとDITが最大になるか、言い換えれば運動とDITをどのようなタイミングでおこなうと総エネルギー消費が最大になるかに関心がある。本研究の目的は、食事後運動しない場合に比べて、食事後の運動がDITをさらに高めるかどうか、また食事組成がDITと運動のエネルギー消費に影響するかどうかについてラットを用いて検討することにある。 平成5年度の研究では、長期にわたる高炭水化物食あるいは高脂肪食の摂取が一回の摂食後のDIT、またその後の運動中のエネルギー消費を高めるかどうかを検討した。その結果、長期にわたる高炭水化物食あるいは高脂肪食の摂取は1回のそれぞれの食事後のDITに差をもたらさなかった。しかし、その後の運動中の酸素摂取量は、高脂肪食のラットに比べて、高炭水化物食のラットで有意に高く、また呼吸商は高炭水化物食のラットで高かった。一方、運動中の肝臓と筋肉のグリコーゲン含量は高脂肪食のラットでは低下したが、高炭水化物食のラットでは著しく増加した。これらの結果から、高炭水化物食のラットでは、運動時には炭水化物のエネルギー代謝が活発化し、肝臓と筋肉のグリコーゲン:グルコース1リン酸の基質サイクルが高まり、エネルギー消費が高まることが推定された。また、1日の尿中エピネフリン量は高炭水化物食のラットで高かった。 高炭水化物を長期に摂ることは1回の食事後の食事誘発性体熱産生に影響をもたらさないが、交感神経系の活動が亢進する運動時には炭水化物のエネルギー代謝を著しく高めることがわかったので、これらの内容を論文にまとめ発表した。
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