今年度の研究目的は、複合型アルペンスキーロボットの開発とコンピュータ・シュミレーションの開発であった。おおむね順調に計画が進み研究成果が以下のようにまとめられる。 複合型アルペンスキーロボットの開発については、膝関節(下腿の)の内旋・外旋モデルを開発した。このモデルでは、股関節回旋モデルによる直滑降姿勢から、膝関節(下腿の)の内旋・外旋により、膝からの斜滑降姿勢がとれる。また、股関節回旋モデルによるプル-ク姿勢や斜滑降姿勢から膝関節(下腿の)の回旋によりプル-クトップリフトやシャテムトップリフトが生じ、スキーが直線状であっても横ずれを伴って回転することができる。 コンピュータ・シミュレーションの開発では、例えば、ターン時のスキヤ-の内部応力とトルクではSS系を簡単な折れ線図形で表した一本スキー複合モデルを仮定し、パラレルターンの力学的解析に基づいてスキーヤーの膝関節に作用する内部応力と内部トルクの推定を試みた。安定な横ずれターンを1回行う過程では、膝関節に作用する内部応力と内部トルクは殆ど変化せず、ほぼ一定の値を保つが、ターンの後半で内側に尻もちをつくようにたおれる場合には、膝から下の部分を強く捻るトルクがはたらくことが分かった。また、スキー板から見たターンの基本機構-厳密解による例示一では、単一のスキー板だけの系を考え、スキー板から見たターンの機構を力学的に解析した。スキー板と斜面の間の相互作用の摩擦力と仮定すれば、未知数と方程式の個数が一致し、運動方程式は一義的な解を持つことが分かった。
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