高血圧症の親を持つ子供ともたない子供との間には、現在は健康に見えても、異なる循環応答が潜在することが考えられる。運動は、生体応答をより明瞭化させる手段と考えられることから、平成5年度において、高血圧症に特徴的な循環応答の相違を顕在化させる、簡易な運動負荷の測定法をまず確立することを目的に実験を行った。 まず、運動負荷の与え方として、自転車エルゴメーターのコンピューター制御による負荷方法について考えた。正弦波状負荷とステップ負荷をランダムに与える(ランダム負荷)の2方式を、同一被験者にあたえ、連続的に計測された心拍数、動脈血圧、呼気ガスの応答特性(遅れ時間)について検討してみた。その結果、(1)負荷方式が違っても、応答特性(遅れ時間)に相違がないことが示された。(2)一方、正弦波負荷は、負荷の振幅、平均振幅、周波数の組み合わせが各被験者について異なるため、得られるデータの処理が頻雑になるというディメリットが多いことが示された。(3)さらに、異なる作業負荷を与えるためには、繰り返し実験を行う必要があり、本実験の目的には合致しないことも示唆された。(4)ランダム負荷には、このような問題が少ないことが示された。以上の結果を踏まえ、平成6年度からの実験にはランダム負荷を採用することが望ましいと結論された。
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