研究課題/領域番号 |
05680090
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
森本 恵子 山口大学, 教養部, 助教授 (30220081)
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研究分担者 |
西保 岳 山口大学, 教養部, 講師 (90237751)
丹 信介 山口大学, 教養部, 助教授 (00179920)
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キーワード | 運動トレーニング / ストレス / 交叉適応 / ACTH / ノルエピネフリン / エピネフリン / 心拍数 / 血圧 |
研究概要 |
平成6年度は、精神ストレスによって誘発される内分泌系の該反応が、持続的運動トレーニングによってどのような影響を受けるかについて実験を行なった。ウイスター系雄ラットを運動トレーニング群3群とコントロール群に分け、運動トレーニング群には、乳酸性作業閾値(LT)以下、LT付近、LT以上と考えられるそれぞれ10m/分、20m/分、30m/分の異なる3種のスピードでのトレッドミル走を1日60分、週5日、8週間にわたっ各群ラットに行なわせた。運動トレーニング後に、各群のラットに精神ストレスとしてcage-switch stressを負荷し、その際の血漿ACTH濃度、血漿ノルエピネフリン及びエピネフリン濃度の変化を測定した。今回実施した運動トレーニングによって、ラット足底筋のコハク酸脱水素酵素活性値はコントロール群に比べて20m/分及び30m/分の両トレーニング群で有意に高値を示したことより、持久的トレーニング効果は得られたと考えられる。また、副腎重量は、コントロール群と比較し、30m/分のトレーニング群では有意な増加が認められた。cage-switch stress負荷前の安静時の血漿ACTH濃度を比較したが、各群間に差は見られなかった。cage-switch stress負荷により、各群ラットで血漿ACTH濃度は有意に増加した。各群間で比較すると、30分目の血漿ACTH濃度はコントロール群と比べ10m/分、20m/分のトレーニング群でわずかに低値を示し、30m/分のトレーニング群ではむしろ増加する傾向が認められた。血漿ノルエピネフリン及びエピネフリン濃度の増加反応はコントロール群と比べ、10m/分、20m/分のトレーニング群では差がみられなかったが、30m/分のトレーニング群では有意に増強していた。以上より、運動トレーニングにより、精神ストレスに対する内分泌反応が減弱する可能性はあるが、その程度は大きなものでなく、トレーニングの運動強度が強いとむしろ増強する可能性も示唆された。
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