スポーツ傷害からの復帰過程(スポーツへの再社会化過程)のパターンとその過程における心理状態を検討し、先行研究として概念モデルを作成することにした。その結果、スポーツからの復帰過程は入院加療が必要な傷害で、選手生命に影響を与える場合には、【.encircled1.】傷害直後の驚き・不安、【.encircled2.】傷害に対する拒否・絶望、【.encircled3.】傷害を起こした原因について自罰的、惑いは他罰的な対応、【.encircled4.】傷害や状況を冷静に受け入れ、【.encircled5.】リハビリによる競技への復帰、の各段階を経る。選手生命や競技成績に直接に影響を与えない場合は【.encircled1.】、【.encircled4.】、【.encircled5.】の各段階の復帰過程を経る。復帰過程における各段階の期間は選手の傷害程度、パーソナリティ、ソーシャル・サポートにより異なるようである。 一方、負傷した選手の復帰過程での心理状態を適切に理解することが可能かを検討するために、自尊感情(ローゼンバークの自尊感情測定)(度項目を使用)、POMS(POMSテスト使用)、競技不安(SCATテスト使用)、抑うつ度(NDS健康票使用)を測定した。その結果、これらの心理的な測定項目の有効性が確認できた。他方、傷害を引き起こす原因となるストレスについて、選手を取り巻く生活環境(部活動、部活以外の学校生活、家庭生活)を総合的に検討してストレス測定項目を作成した。 ストレス測定項目、復帰過程での心理状態を理解するための各種の心理的な測定項目、そしてスポーツ傷害からの復帰過程の各段階のパターン化のいずれも調査対象者が少なく先方研究的な意味しかない。
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