研究概要 |
本年度はスポーツ外傷・障害が受傷選手の心理や態度に与える影響に対して,ソーシャル・サポートや対処能力等がどの程度介在要因として影響するかを高校スポーツ選手を対象として調査した. 高校生スポーツ選手580名の縦断的調査の結果,以下のことが明らかにになった. 1)友人や部指導者のソーシャル・サポートが強いほど,スポーツ外傷・障害が受傷選手の心理や態度に与えるマイナスの影響を軽減する.またスポーツ障害・外傷からの回復過程に対してもプラスの作用をもたらす. 2)スポーツ選手の自己統制能力が高いほど,スポーツ外傷・障害によって受ける悪影響をうまく統制することができる.またスポーツ傷害・外傷からの回復過程に対しても積極的で適切な対応がとれる. 3)ソーシャル・サポートと自己統制能力はスポーツ外傷・障害の受傷後のスポーツへの適応感を維持することに貢献する.すなわち退部を防止し,部への不適応を緩和する. 本年度は縦断的調査の2年目にあたり,縦断的調査は3回実施している.本研究の主要な目的は縦断的な研究・調査で因果関係を明らかにすることである.したがって,今後はに因果関係に留意しながら,多要因の相互関係を多変量解析を駆使して分析を進める予定である.
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