本研究では、朝の起床後におけるジョギングの問題点と、その実施時間帯による代謝特性を明らかにすることを目的とし、男子長距離選手5名(19〜26歳)とジョガー6名(32〜50歳)を対象に、朝・空腹、朝・スナック(バナナ1本とヨーグルト1個を摂取、糖質約40g)、夕方の3条件を設定して60分間のトレッドミルによるジョギングを課し、血中基質と代謝反応を測定した。その結果、本研究に用いた被験者では、規則正しい生活と食事内容、睡眠をとっていれば、朝・空腹状態でのジョギングにおいて、低血糖やFFAの急上昇が起こる例は稀であることが示唆された。血中基質の変動からみた朝の2条件と夕方のジョギングの特徴は、夕方の場合、運動前のインスリンレベルが高く、運動中のグルコースの取込みの増加、脂肪分解能の抑制が見られ、朝の2条件の場合は、インスリン、グリコースの変動が小さく、グリセロールの増加、FFA代謝回転速度の増大であった。また、60分間のジョギングにおける呼吸商(RQ)と酸素摂取量による全消費カロリー量は、スナック、654kcal、空腹、619kcal、夕方、627kcalとなり、糖質40gの運動前摂取が代謝量を高める結果となった。炭水化物と脂肪の燃焼比率は、朝の2条件の場合、約50%:50%であるのに対し、夕方の場合、約70%:30%となり、朝のジョギングの方が約20%脂肪の燃焼が多いことが認められた。 以上の結果から、朝のジョギングは、夕方実施する場合に比べて脂質代謝が高いことが示唆された。
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