高校における生命倫理教育に関する国際調査のための日本語のアンケートを作成し、全国の2000の高校に送付しました。アンケートは各校長宛に送付し、社会科および生物の先生に回答をお願いしました。回答のなかった学校へは2か月後に督促状を送り、最終的に社会科の教師383人、生物の教師560人から回答を得、その結果を、ニュージーランドとオーストラリアで同時に英語で行ったアンケート結果と比較しました。日本でも他の2国におけると同様に、社会科でも生物の授業でも、生命倫理を取り上げていることがわかりました。また、両科目の教師とも、多くは生命倫理をカリキュラムに含めたいと考えていることもわかりました。1991年の生物の教師を対象とした調査との比較の結果も、生命倫理は授業で取り上げられる機会が多くなっていることを示しています。しかし、人によって生命倫理の理解は異なっており、また、考える材料にも不足しているようなので、今後も高校の教師たちとの連絡を保ちながら、資料を収集、作成、提供を続けていく必要があると思われます。 また、他の助成資金を用いて8か国で同時に行った一般人と医学生の生命倫理に関する意識調査と比較した結果、母集団による生命倫理に対する考え方の類似点と相違点が明らかになりました。例えば、どの国のどの集団でも遺伝子治療の支持率は同じように高い一方、バイオテクノロジー、遺伝子工学と体外受精の利益とリスクの認識はまちまちです。詳細は拙著「Bioethics for the People by the People」の中で報告します。
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