研究概要 |
平成6年度は,前年度までの予備実験の結果を踏まえ,更なる教材と充実とシステムの機能面での向上,及び実験計画の立案,実施及び評価を行った.平成5年度と同様,教材の分析は寺田及び山下が,システムの機能向上は釈氏及び松居が担当した.今後も本研究の継続にあたっては,教材の充実に伴って,試作システムのデータ収容能力の向上が必要となるであろう. 本研究で扱うシステムは,数学的知識やその理論的背景を初学者に対して指導することを目的としたシステムではないので,実験に当たっては,必要な数学的知識の一通りの獲得が終了した学習者を対象とすることになる.ここでの実験及び評価では,被験者の本システムでの学習前後の意識の変化に着目した.数学に苦手意識を持つ学習者は,数学の問題解決の本質を把握せずに.数学的知識の盲目的な蓄積という誤った学習方法による悪循環に陥っている場合が多いとの知見を得た.このシステムでは,問題解決の成功経験を与えることによって,そうした学習者の問題解決に対する態度の改善を促し,戦略的知識の獲得と共に問題解決能力の育成を目標としている.その意味で,ここでの評価は,学習者の意識調査結果の数理的な分析を中心とする.これは,松居を中心として推進した.特に,本研究では,この目的のための評価の手法の開発までを推進した. 以上の内容を平成5年度の実績と併せて,実績報告に纏めた.
|