1.中学、高等学校の環境教育の中で科学的な視点から土・土壌の学習を積極的に取り入れるため、まず、小・中、高等学校の教員を対象に土壌への関心と土壌の用語についての調査を行った。その結果、土・土壌に関心をもっている人が多いこと、しかし、学校の教科で出てくる用語や概念についてはよく知っていても、生物の成育につながる土壌としての認識は以外に低いことがわかった。例えば、土壌三相や団粒構造の理解と相互の関連、保肥力とイオン交換作用、また、土壌と酸性雨、水の汚染や土壌汚染などの環境問題との関連は、小・中、高等学校の教員ともあまり意識していない視点であることがわかった。 2.環境教育の視点から土壌理解の鍵概念として、自然観察の面から団粒構造、実験・観察の面から土壌のイオン交換性を置き、これらを中心に土壌の科学的理解のネットワークがつくれる手掛かりを得た。 (1)森、草地、畑で観察される団粒構造・田や粘土層の単粒構造の試料の自然界からの採集、記録を行った。 (2)土壌三相のモデル教材の作成、イオン交換性のモデル実験を砂を素材として塩基性色素と酸性色素をそれぞれ陽イオン、陰イオンとみなして開発した。 3.団粒の観察と土壌の調べ方、土壌三相モデル、イオン交換性モデル教材を環境教育の研修の中で、小・中学校、高等学校教員を対象に実習を行った結果、イオン交換性のモデル実験は酸性雨、石灰散布の効果、洗剤の土壌への影響のモデル実験へと展開できることから、興味をもって受け入れられることがわかった。 4.生物と土壌とのかかわり方を実験的に示す教材を加え、分かりやすい教師用の環境教育の観察・実験教材を理科教育、生物教育学会で発表し、また、報告書としてまとめた。
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