研究概要 |
本年度は,立体視に関する技術の完成度を高めるとともに,立体視切除に用いる模擬解剖用具の充実をはかった。同時に,切除時の微妙な抗力実現のための基礎的な研究を行った。 まず,両眼立体視については,画像の奥行と突出の割合などに関する理論的解明と画像の歪など実際の形状との差を極力縮めるような研究を行い,一定の成果を得た。また,これまでに確立した画像による解剖用具の合成方法を基礎に,種々の解剖用具を定型の用具として合成した。出来上がったソフトウェア解剖用具をアイコンとして登録し,マウスで自由に選択可能とし,これを用いて目的にあった種々の解剖が行えるようにした。これとは別に,一様な粘性をもつ弾性体を実際の解剖用具により種々の速度で切断するときの抗力の発生機序を明らかにする研究を行うために,実際の弾性体を解剖用具で切断するときに発生する抗力の測定装置を作製し,これを用いて抗力を実測した。さらに,ホログラフィを利用した脳画像の立体表示では,レーザ発生装置を利用して干渉縞を作り,これを移動して一定空間内に立体画像を再現する試みを行った。 本年度は研究初年度にあたり,当初の目的であった立体視と立体視切除および抗力実現のための基礎的な研究をほぼ予定通り行うことができた。しかしながら,弾性体を実際の解剖用具により種々の速度で切断するときの抗力の発生機序を十分には解明できなかったので,平成6年度はこれを明らかにするとともに抗力を指先に実際にフィードバックし得るフォースディスプレイ装置の製作に着手するつもりである。
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