1.研究目的と方法:本研究では、学習者自ら学んだことや創造したことをデータベースに登録・蓄積して、学習成果の共有を図る「学習者参画型データベース」についての開発法や改善法を検討することを目的としている。とくに、ハイパーメディアは、この目的に適していると考え、その可能性を具体的にさぐることにした。 2.研究実施項目と成果 (1)ハイパーメディアを用いた学習者参画データベースの作成 筆者が担当する「教育工学」の授業において、学習成果のまとめをハイパーメディアの代表的ソフトのハイパーカードを用いて作成させた。その内容は、教育工学の基礎用語、教育工学の各種技法、コンピュータやソフトの使用法などの中から、学生に選択させた。これを集約し、「教育工学受講者用データベース」を試作した。また、従来から同様に取り組んできた「三重のお祭りデータベース」の開発も継続した。 (2)作成されたデータベースの改善方法の検討 データの蓄積の多い「三重のお祭りデータベース」について、改善法の検討を進めた。作品評価表を作成して、「わかりやすさ」、「有効性」、「独自性」、「努力性」の観点と、自由記述によって、個々に登録されたデータ(作品)についての評価情報を収集し、整理した。その結果、高い評価を受けたものは、「情報が豊富なこと」と「画像や音声が効果的」などが、評価の低いものは、「情報量が少ない」、「単調である」などがあげられた。ハイパーメディアの特徴を強調すること、全体として、ボタンの配置や形状に統一性をもたせた方がよいことなど、具体的な改善案がたくさん得られた。これらの検討に基づき、現在実際の改善作業を進めている。
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