本研究は、成人に対する遠隔教育メディアとしてのコンピュータの有効性を検討し、最終的には、コミュニケーション・インターフェイスの改善に役立てることを目的とする。平成5年度の目標は、対面型コミュニケーションとの比較により、コンピュータ・コミュニケーションの特性を明らかにすることであった。実際には、以下の手順で研究を進めてきた。 (1)対面型コミュニケーションとコンピュータ・コミュニケーションの両方で、ある同一テーマについての討論を実施する。 (2)対面型コミュケーションで録音された音声のテープ起こしを行い、文書化する。 (3)両タイプのコミュニケーションにおける発言プロトコルの分析を行い、コミュニケーション特性について、発言量・個人的エピソード量・冗長度・論の整合性といった観点から質的・量的に比較する。 両タイプのコミュニケーションを比較した結果、上述の諸点において明かな差が認められた。これらは、メディアとしてのコンピュータの利点を示すものであった。平成6年度は、上述の評価観点に加え、自己開示や相手への心理的距離の接近といった消費的コミュニケーションの観点からも検討を加えていきたい。
|