学校独自の生活科カリキュラムを実施している学校を選び、開発上の問題点や手だて、設計・評価のための具体的な情報を収集・活用するシステムについて、授業研究と面接調査を行った。研究代表者の村川は主に授業研究・カリキュラム研究の立場から、研究協力者の佐古は主に研究組織・学校経営の立場からの分析を行った。本年度の研究によって得られた成果は次のとおりである。 (1)独自のカリキュラムに取り組んでいる学校は、実践を通して改善したいという意識は高いが、具体的な評価システムを持っていない。学校カリキュラムを単元レベルで関連要因と構成要素を記述し、実践を通して改善点が明確化できる評価システムの開発が急務である。単元評価・カリキュラム評価を前提とした学習指導案を作成・試行・評価した。 (2)生活科カリキュラムの実質的な開発主体を学校単位に求めるのは困難である。各校の実態に応じた単元設計や教材開発および日常的な授業研究を通して具体的な改善につなげるためには、学年単位または低学年単位のチームティーチング方式によるカリキュラム開発が不可欠である。その上で、学校全体をカリキュラム開発・評価に関連させることが必要である。鳴門市および神戸市の小学校の共同でティーム・ティーチングによる生活科のカリキュラム開発を進めている。 (3)日常的な授業実践、校内研究授業および研究会、対外的な実践発表などが学校カリキュラムの具体的な改善につながるためには評価システムの開発が必要であることが教師たちに意識され始めている。単元計画が共通理解および具体的改善点の明確化が可能な形に改良されたが、日常的かつ比較的簡便に活用可能な評価道具の開発が次に求められている。
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