研究概要 |
今日,我々のまわりには非常に多くの化学物質が存在しており,暮らしや生命を支えている。したがって,それらの物質を構成する分子の構造,反応性,役割,効用などの理解は我々すべてにとって重要である。そこで分子の立体構造や機能の理解を支援する方法として,パソコンを用いた分子の三次元構造の画像データベースを用いる化学教育システムを研究開発した。開発にあたり,教育の場なとで簡便に,広く利用できるものにするために,(1)化合物名,分子式,分子量,構造式を知ることができること,(2)球棒モデルと空間充填モデルが表示され,それぞれをステレオ視できること,(3)物性値,由来,製法,反応,用途,生物活性などに関する情報を得ることができること,(4)簡単なキ-操作で,誰でも容易に利用できること,(5)処理速度がさほど速くないパソコンでも利用できること,などの仕様を実現した。これまでに,分子モデルの画像を中心とした,いわば‘分子の図鑑'の内容をもつ次の7個のソフトウェアを作成した。(1)分子の電子図鑑基本有機化合物,(2)分子の電子図鑑II 分子と生活,(3)分子の電子図鑑III タンパク質と核酸,(4)分子の電子図鑑IV 生理活性物質,(5)分子の電子図鑑V 基本有機化合物2,(6)フラーレンC_<60>〜C_<84>の分子データとグラフィックス,(7)化学の学習ソフト‘パソコンで見る分子の世界'。これらのソフトは,学会誌に発表するとともに,化学ソフトウェア学会の「無償利用ソフト」として登録し,広く公開している。また,これらのソフトが広く利用された実績が評価され,同学会から平成6年度の技術賞が授与された。 今後の発展として,(1)ソフトを統合し,CD-R0M化して公開すること,(2)使い易いGUIをもつWINDOWSをOSに採用し、物質に対応した静止画像やビデオ画像を取り入れ,マルチメディア化することを計画している。
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