学校基本調査を基礎資料とした分析から、次のようなことは示唆された。 (1)中学校卒業者中の「無業者」の割合が都道府県によって格差があり類型化することができる。無業者率が高いのは沖縄、高知、宮城、福岡、新潟などである。 (2)通常学級卒業者ので無業者率と特殊学級の無業者率の比較においても類型化が可能である。通常学級の無業者率の高いのは、沖縄、高知、宮城、福岡、北海道などであるが、特殊学級の無業者率の高いのは、佐賀、新潟、静岡、宮城、沖縄などである。 (3)通常学級卒業生の無業者率に影響する要因は高等学校入学の難易性や地域の民力がなどが考えられ、特殊学級卒業生の無業者率に影響を与える要因は、養護学校高等部あるいは高等養護学校の整備状況と考えられる。 障害児でありながら通常学級に在籍し不適切教育の結果として無業者になるケースが存在することから、仙台地区の中学校で「無業者」になった者の理由調査が行った。それによると、そうした生徒が実際に在籍し、学校長は福祉施設の充実を求めていることがわかった。他方、通常学級にどのくらいの障害児が在籍するかを東京都三多摩地区のデータから分析したが、それからは、過去10年間に通常学級在籍障害児が必ずしも増加しているとは言えないことが判明した。しかし、この問題は、引き続き、各地方の就学指導のあり方と中学校特殊学級に設置の有無と係わらせて調査を続ける。
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