本研究では、学校現場において気軽に行うことを可能とする簡便な養液裁培技術の確立のため、養液裁培装置の試作と植物の裁培実験を行った。今年度の研究では、主として水耕裁培法の確立を中心に検討した。得られた知見を以下に述べる。 1.学校での裁培学習のための簡易な水耕裁培装置の製作を行った。 2.水耕裁培の容器には、数種の容器を比較した結果、ポリバケツ及びポリバットを用いることとし、耐水ベニア板で植物の苗を支持して、水耕肥料液を入れたこれらの容器にエアポンプから空気を送り込む簡易な水耕裁培装置を製作した。 3.この装置で、コマツナ、ホウレンソウの葉菜類の他、パンジー、キンギョソウの草花を裁培して、裁培管理方法を検討するとともに、生育状況を調査した。 4.いずれの植物の裁培についても、慣行の土耕裁培を行い、水耕裁培区との比較調査を行った。 5.葉菜類はこの水耕裁培法で土耕裁培区よりも十分な生育が認められ、空気を多量に供給した区及びポリバケツ利用区において、さらに生長が促進された。 6.一方、パンジーなどの草花では、この水耕裁培法では生育が進まない株がかなりみられ、生長も土耕裁培区よりも低下した。 7.葉菜類の栄養分析の結果、水耕裁培区における窒素含有率は土耕裁培区よりも著しく高く、また、炭素及びカリ含有量も土耕裁培区よりもかなり高いことを認めた。
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