本研究では、学校現場において気軽に行うことを可能とする簡便な養液栽培技術の確立のため、養液栽培装置の試作と植物の栽培実験を行った。水耕栽培とロックウ-ル栽培を行って得られた知見を以下に述べる。 1.水耕栽培の容器には、数種の容器を比較した結果、ポリバケツ及びポリバットを用いることと、耐水ベニア板で植物の苗を支持して、水耕肥料液を入れたこれらの容器にエアポンプから空気を送り込む簡易な水耕栽培装置を制作した。 2.この装置で、コマツナ、ホウレンソウなどの葉菜類の他、パンジ-、キンギョソウの草花を栽培して、栽培方法を検討するとともに、生育状況を調査した。 3.いずれの植物の栽培についても、慣行の土耕栽培を行い、水耕栽培区との比較調査を行った。 4.葉菜類はこの水耕栽培法で土耕栽培区よりも十分な育成が認められたが、パンジ-などの草花では、この水耕栽培法では生育が進まない株がかなりみられ、生長も土耕栽培区よりも低下した。 5.ロックウ-ルに園芸植物を植え付けて栽培した結果、供試した16種類について、いずれも容易に栽培できることがわかった。しかも、いずれの肥料でもよく生育し、施用濃度はハイポネックスの場合には、500倍または1000倍で栽培した株の生長量が大であった。 6.屋外でロックウ-ル栽培を行った結果、植物の種類によって生育に違いがみられた。 7.栽培した植物の成分分析の結果、水耕栽培区の窒素含有率は土耕栽培区よりも著しく高く、また、炭素及びカリ含有量も土耕栽培区よりもかなり高いことを認めた。
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