自然教室(「自然教室推進事業」)は児童生徒に1週間(5泊6日)程度の集団宿泊活動をさせ、体験学習を通して心身の調和的発達を図ることをねらいとしている。本研究の目的は、自然教室が児童の身体・心理面にどのような影響を及ぼしているかを実証的に解明し、さらに健康教育領域における認識形成や学習能力を高める上でどのように位置づけることができるかを検討することにある。 自然教室に参加した児童の学校生活時と自然教室期間中における身体、心理状況等を明らかにするため計3回の調査を行った。その結果、学校生活時に比べて自然教室期間中に疲労自覚症状の訴え率が低率を示したのをはじめとして、セルフ・ヘルス・チェックの回答率の変化、空腹感の訴え率の増加や生活満足度が高まるなど自然教室が児童の身体面に有効な影響を及ぼしたと判断できるデータを得た。また、セルフ・エフィカシィーの変化から自然教室の体験が児童の心理面においても効果を及ぼしていたことも認めた。以上のことから自然教室の宿泊日数の妥当性や教育効果が推察できた。さらに、自然教室期間中の身体状態が学校生活時の状態と違うことや自己能力の修正が行われたことなどに注目した学習指導システムを構想できた。
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