研究概要 |
平成5年度は主に会話データ収集とデータの文字化作業を完了する予定になっていたが、本年度の研究計画はほぼ予定通り完了した。平成5年6月から10月まではデータ収集の準備として被験者選択のための予備調査や課題作成に取組み、11月と12月には南山大学(外国語留学生別科)と広島大学でそれぞれデータを収集した。データはアメリカ人日本語学習者グループと日本人英語学習者グループ(計32名)にペアで難易度が異なる二つの課題(話題)について母語と習得対象言語でそれぞれに会話させものである。その後、11時間以上の長さとなった会話データは研究補助者の協力を得てまず英語と日本語に文字化され、次にコンピュータに入れてデータ・バンク化された。データをコンピュータ化したのは貴重なデータを将来の研究にも役立てるようにするためである。さらに、本研究者と共同研究者はデータ分析の準備として、先行研究(Hirose & Kobayashi,1992)で使用した「繰り返し」の機能カテゴリーについて再検討を行った。新しい文献資料を読み、先行研究のデータを再分析した結果、先行研究ではまだ曖昧さを残していた「繰り返し」の三つの主機能(production,repair,interaction)の定義をより厳密にし、その機能の違いを明確に区別できるようにした。さらに機能のサブカテゴリーについてもより明確な定義を行い、その種類も19から15へと減らした。これらの修正によって「繰り返し」の機能カテゴリー分析はその客観性を一段と高め、将来、他の研究者によってもこの機能カテゴリーが「繰り返し」分析に正しく適用されうると考える。本研究者と共同研究者は、修正された機能カテゴリーに基づき平成6年4月から新しいデータの分析に取り組む予定である。
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