研究概要 |
当年度は、昨年度に引き続き,これまで研究してきた,占領期における社会科教育をめぐる政策,議論についての歴史的資料を集収,整理,分析してきた。 とりわけ本年度は,占領後期に作成を試みられた中学校用日本史教科書に焦点をあてて考察を加えた。1947年11月,文部省に設置された国史教科書編纂委員会によって作成された日本史教科書(未刊行)の英文原稿(ボウルズ文書)を全訳し,これが戦後始めて社会科の視点から編集された日本史教科書(案)であったことを記述面で確認することができた。また,この点に加えて,この原稿の後に,実際に教科書として出版されたものと比較することにより,戦後初期の社会科的歴史教育の歴史的位置を検討した。これらの諸点については,他の史・資料を詳細に分析し未発掘資料を探索することが求められる。今後の課題としたい。
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