職業高校における教科書を除く図書教材の開発と利用の実態を、各都道府県から抽出した、農業、工業、商業に関する学科をもつ3校、合計423校を対象に質問紙調査を実施し、全体の65%の学校から回答を得た。その結果は、以下の通りである。 1.教科書を除く多くの図書教材は、様々な分野を持つ職業教育の中で、多くの問題を抱えながらも極めて重要な役割を担っている。 2.職業高校における図書教材は、その目的により、補完的教材、補助的教材、受験用教材、深化的教材の4つに分類することができた。 3.図書教材の利用目的は、いずれの学科とも、資格取得のための受験用教材が多くを占める一方、農業学科では補助的教材が、工業学科では補完的教材と深化的教材が、商業学科では受験用教材が主に利用されていた。 4.1人当たりの図書教材の平均利用冊数は、3〜4冊であり、生徒に購入させるケースが多く見られた。 自作図書教材を開発している県等の比率は、農業学科が最も多く、約75%で、工業学科が20%、商業学科が10%の順であった。 自作図書教材を開発している学校の比率は、工業学科が最も多く、約35%で、商業学科32%、農業学科が20%の順であった。 7.自作教材の開発には、執筆・編集に当たる先生方の負担増、生徒の費用負担増、それに伴う改訂作業の遅れ、著作権の問題など、多くの問題点が明らかになった。
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