研究概要 |
1.多変量メッシュデータに対して、セル間の構造についての事前情報が関係行列として与えられた場合、その情報をデータ分析に組み込む方法を前年度に開発したが、これをさらに発展させた。まず冗長性分析の基礎理論を検討し、正準相関分析よりも冗長性分析を組み込む方が有効であることを確認した。この結果、事後情報として関係行列が与えられた場合も分析可能となった。またメッシュデータに関して、セル間の構造情報よりも、セルから成るブロックの間の構造情報を与える場合が、現実の応用上は重要であるので、ブロック間の関係行列が複数個与えられた場合も扱えるようにした。基礎研究については、第61回日本統計学会大会に発表したが、詳細はJournal of the Japan Society,Vol.24,No.1 に出版される。なお開発した分析法については、投稿を準備中である。15EA02:2.メッシュの構造情報や事前情報を、データの分析に組み込み、潜在構造を効率的に探索するためにシステムの構築を前年度に行なったが、その探索に線形モデルによるベイズ推定を行うと有効であることがわかった。この分析を効率的に実行するために、多重配列データとして記述される事前情報を、組織的にかつ適応的に扱う処理する機能を設計し、Prologによる解析支援システムとして実現した。研究の一部を第22回日本行動計量学会に発表した。詳細は投稿を準備中である。 3.前年度に生態学的な調査データを、効率的に計算機処理するためのデータファイルを作成したが、それを継続した。本研究の目的上、調査地域のグリッド間の移動に関して、心理的障害あるいは物理的障害の分析が最も有意義である、アライグマの土地利用データを収集し、データファイルとして完成した。これに基づいて見い出された野性化アライグマの分布と行動圏様式を、第41回日本生態学会に発表した。また、関係情報として解析されると有効であることを結論した。
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