応用上重要なCox回帰測定誤差モデルの理論と応用例を記述した論文がEnvironmental Health Perspectivesから出版され、更にプログラムをパッケージ化した論文がComputer Methods in Biology and Medicineから出版された。又誤分類修正法の理論を構成し、シミュレーション研究を行ったので論文"Adjusting for Exposure Misclassification in Risk Assessment"にまとめ国際環境疫学会(米国北コロライナ州、1994.9)において報告し現在投稿準備中である。測定誤差モデルの重要な応用例として放射線影響研究所(RERF)の寿命調査集団の解析がある。米国統計学会誌等において確認することが困難な仮定や荒い近似(被爆者の真の被爆線量がワイブル分布からのランダムサンプルとする等)を用いた方法を提案しているが、得られた推定値の標準誤差すら求めるのは困難と思える。結果の社会に与える影響の大きさを考え、本研究成果に基ずく適切な解析法を考案した。ポワソン回帰モデルの尤度に測定誤差を考慮した修正を加えたものであり、漸近正規で不偏な推定値を生成しその分散の推定値も得られる。RERFからデータを入手したので実際に応用する為の計算作業を行っている。Science Vol.247(1990)pp1170-1においてコレステロール値と心疾患リスクとの関係に関する論争の原因は測定誤差を無視してきたことにあるという論説がのり、同年のLancet Vol.335pp765-774の論文の中で測定誤差を修正した結果が示されたが、その論文の修正法を批判する論文がStat.Med.vol.13pp1265-82(1994)に載せられた。正しい修正法を研究する為にNIHからフラミンガム心臓研究データを寄贈してもらったので、現在電算機ファイルに変換中である。以上研究目的をほぼ達成し更に応用に関する具体的方針をたてることができた。
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