研究概要 |
本研究の最終目的は,種々の並列アルゴリズムを知識ベースに蓄え,組み合わせ的問題(グラフ理論,ネットワーク,フロー理論,電気回路理論など)の新しい並列アルゴリズムを考案する助けとなるような手法を開発することである.この目的を実現するためには,既存の並列アルゴリズムに含まれる典型的な技法を部品として抽出することと,それらの部分を組み合わせて新しい並列アルゴリズムを作ること,などを検討しなければならない. 本研究では.上記の部品を組み合わせるときに,組み合わせるという操作自体がある種の代数的構造をもつことに注目し,その構造を解明することを試みた.具体的には,従来から困難とされてきたNP完全な問題の多くが双線形計画問題として記述できることを示した。このことは、NP完全な問題の複雑さを双線形計画問題としての記述における変数の個数によって評価することができること、それらの問題に対する新たな並列アルゴリズムの存在を示唆すること、等を示している。 また、一般に、多くのアルゴリズムが、問題の代数的構造とそれに対する演算規則を定義することによりきわめて簡単に記述できることに注目し、さまざまなアルゴリズムの代数的構造と演算規則を導いた。特に、リストに関するアルゴリズムを深く考察し、数値の和や最小値、数値列の整列などが一般的演算規則で記述すると同一の形式になることを示した。
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