プログラムの構造に基づく並行処理プログラムのテストケース作成技法の基礎的研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05680277
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 古川 善吾 九州大学, 情報処理教育センター, 助教授 (30190135)
• 研究分担者: 下園 幸一 九州大学, 情報処理教育センター, 助手 (20253510) ; 最所 圭三 KITE運用センター, 助教授 (50170486) ; 牛島 和夫 九州大学, 工学部, 教授 (40037750)
• キーワード: 並行処理プログラム / ソフトウェアテスト / テストケース / 事象同期モデル / 協調路 / テスト基準 / 被覆率 / 強制実行

研究概要

並行処理プログラムのテスト品質向上のために、テストケースの作成技法について基礎的な研究を進めている。研究の目標としては、テスト時に被テストプログラムを実行するための条件と被テストプログラムの実行結果が正しいことを判定するための期待出力とを記述したテストケースを並行処理プログラムのソースコード(プログラムの構造)に基づいて作成するための方法の確立、テストケース作成アルゴリズムの開発、支援ツールの基礎技術の確立、がある。さらに、作成したテストケースに基づくテストの実施やテスト十分性評価まで含めたテスト支援環境について検討する必要がある。
今年度は、並行処理プログラムに対してテスト充分性が評価できかつテストケース作成に必要充分な情報を含んだ形態である事象同期モデルとしてAda並行処理プログラムをモデル化する方式を開発した。事象同期モデルに基づくテスト充分性評価基準を満足するテストケースを事象同期グラフ上の協調路として定義した。協調路は、並行処理プログラムを構成するプログラム単位のそれぞれの実行路を同期・通信を満足するように組み合わせた路の集合である。事象同期グラフおよび協調路の定義を情報処理学会の論文誌上に発表した。さらに、協調路をAda並行処理プログラムのソースコードから自動的に作成するテストケース作成支援システムを試作し、簡単なプログラムに適用した。
さらに、作成したテストケースの実行方法および、テスト充分性評価技法について検討し、Japan SIGAda、情報処理学会研究会で報告した。また、並行処理プログラムの特性を理解するために、計算機ネットワーク上の応用プログラムについてソフトウェアシンポジウム、JWCC8(Joint Workshop Computer Communication)で報告した。

研究成果

• [文献書誌] 片山徹郎,菰田敏行,古川善吾,牛島和夫: "並行処理プログラムにおけるテストケースの定義と生成ツールの試作" 情報処理学会論文誌. Vol.34. 2223-2232 (1993)
• [文献書誌] 増田百合,古川善吾,荒木啓二郎: "ソフトウェア分散開発に伴う遠隔会議におけるコミュニケーションメディアの役割" Proc.ソフトウェアシンポジウム. 198-205 (1993)
• [文献書誌] SAISHO,K.,KASHIMA,H.,SOEJIMA,K.,FURUKAWA,Z.: "Design and Implementation of User Friendly Interface for Directory Services." Proc.ofJWCC8. H-2-3-1-8 (1993)
• [文献書誌] 菰田敏行,片山徹郎,古川善吾,牛島和夫: "Ada並行処理プログラムのテストケース作成とその強制実行に関する一考察" Proc.第20回Japan SIGAda. 9-15 (1993)
• [文献書誌] 古川善吾,梅田修一,片山徹郎,伊東栄典,牛島和夫: "オブジェクト指向プログラムのテスト法に関する一考察" 情報処理学会情報研報. Vol.94. 123-130 (1994)