研究概要 |
本研究は超LSI自動設計問題の数理計画法に基づいた定式化法とそれを基本的算法とする効率的ヒューリスティック解法の可能性を追求することを目的として遂行され,以下の研究成果を得た。 1.超LSI演算器のアロケーション問題とフロアプラン問題とを整数計画問題として数学的に定式化し,その有効性を調べた.この成果は第1論文として国際会議で報告し,第4論文として学会論文誌に報告した. 2.データファイル方式LSIに対し,アロケーションとフロアプランとを同時に考慮した問題を整数計画問題として数学的に定式化した.この成果は第3論文としてワークショップにて報告した. 3.実用規模のフロアプラン問題を数理計画法に基づいて解く手法を開発するための準備として,ネットモデルが結果に与える影響について検討し,第2論文として公表した. 4.アロケーション問題に対し,整数計画法に基づいたヒューリスティック解法を提案した.この成果は本年開催予定のワークショップにて第5論文として報告予定である.また,従来取扱いが困難であったマルチプレックサのコストを正確に考慮する数理計画法的手法をも新たに考案し,国際会議で報告するために投稿中である. 5.大規模フロアプラン問題に適用できる,線形計画法を用いた階層的ヒューリスッティック解法を提案し,その有効性を調べた.この成果は,現在電子情報通信学会へ投稿するために準備中である. 以上のように,超LSI自動設計問題を取り扱う上で,数理計画法は定式化能力が非常に高いこと,階層的に問題を分割して各部分問題の解法に数理計画法を適用するといった新しいヒューリスティック法は,得られる解の"質"と計算時間のトレードオフを考えると大規模問題に対して有効であることなどが明らかになった.
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