研究概要 |
本研究では,任意の構造をもつ神経回路網を仮想生物とみなし,ランダムに生成した初期個体集団に対する進化シミュレーションを,最適化手法の一種である遺伝的アルゴリズムの拡張手法によって実行し,画像認識に適した構造と結合荷重をもつ神経回路網を自動生成することを目的として研究を遂行した. 本研究の成果を次にまとめる. 1)遺伝子型自動伸長遺伝的アルゴリズム(AGES・GA)の開発 生物集団の進化の進行状況に応じて,神経回路網の隠れユニット数を自動的に増大させ,回路網を複雑化する一方式であるAGES・GA(Automatic Genotype Elongation Strategy using Genetic Algorithm)を確立した.そして,AGES・GAの性能を十分に引き出すための遺伝規則や各パラメータの設定方法について検討した.次に,XOR問題,連想記憶などの基礎的な諸問題に適した構造と結合荷重をもつ神経回路網を本方式によって自動生成できることを確認した. 2)画像認識のための神経回路網の進化シミュレーション 図形認識処理を目的としてAGES・GAを実行し,水平・垂直線分の認識,それらの結合状態の認識,最終的な図形の認識というように,神経回路網の能力を段階的に成長させることができることを確認した.また,実用規模のユニット数をもつ神経回路網の自動生成実験をくり返し実行したシミュレーション実験結果から,本方式を大規模な神経回路網の自動生成に適用可能であるとの確信を得ることができた.
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