研究概要 |
本研究では,従来のコンピュータビジョンにおける正則化手法が取り入れていなかった対象固有の知識を利用する新しい手法の開発と,実際に水流や血流計測への応用を図る.すなわち,拘束式として流体表面の観測データやX線DSA投影画像データとの整合性による拘束式に加え,さらに対象の物理モデル(ナビエ・ストークス方程式)を導入することにより,対象の特性に合致した3次元画像復元を行う. 1.流体方程式に基づくオプティカルフローに関する研究 従来の勾配法によるオプティカルフローは,画像明度不変則による拘束に加え,速度場の滑らか拘束を利用している.これは,対象に依存しない一般的な拘束である.しかしながら,その対象に固有な知識を利用することができればより有効である.速度の滑らか拘束に替えて,対象の物理モデル(Navier-Stokes方程式)による拘束を導入することで,対象の特性に合致した速度場の復元を行った.対象とした流体は,DSA投影画像への拡張性を考慮して,平行管内の円筒管流,渦流,シミュレーションデータについて検討した.ここで流体方程式の重みを最初小さく設定し,繰り返し段階でこの重みを大きくする.この手法により,従来のオプティカルフロー法では求まらなかった流体の動きをより精度よく算出可能にした.Karman渦については算出精度について検討中である. 1.二相流表面流像からの速場の再構成 淡水と海水が混在する河川河口部での水門から海水が流入する密度流を対象として,シミュレーション的検討と,その速度場の像復元を行った.ここで密度項は変数となるため数値計算がかなり複雑となり収束性の改善を検討している.また,シミュレーションデータ(速度)に基づいて可視化データ変換を行うが,この時の内捜・外捜の高精度化が難しくこれらにつて検討を行っている.
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