不規則性を有する複数個のテクスチャ領域から構成されているテクスチャ画像の領域分割問題は、画像の特徴量の抽出方法と抽出された特徴量の分類方法の2つに大別される.特徴量の分類にはその等質性を調べるための識別関数とその閾値処理が必要となるが、特殊な特徴量を除いて識別関数の定式化が難しく、さらにその閾値の決定は試行錯誤的に行なわなければならない等の問題点があった。そこで、今年度は識別関数の定式化と閾値処理を必要としない分類アルゴリズムの構成が可能なニューラルネットワークを用い、テクスチャ画像の領域分割を行う新しい方法の開発を目指した. テスチャ画像の特徴量として、本研究では小領域の画像のダイナミック特性を精度良く紬出出来る2次元場自己回帰モデルと、2次元場自己回帰モデルに比べてグローバルな領域の特徴を抽出するのに適したフラクタル次元を用いた.これら2つの特徴量からなる特徴ベクトルに対してニューラルネットワークを適用し、前述の問題点を解決できる領域分割方法を開発した.その研究内容はつぎのとおりである. 1枚の画像を小領域に分割し、個々の小領域から抽出された特徴ベクトルに対してKohonenの自己組織化ニューラルネットワーク、バックプロパゲーション法によるニューラルネットワーク、およびDecision Based Neural Network(DBNN)を組み合わせた領域分割法を新しく開発した.これらの方法を実際のテクスチャ画像に適用し、比較実験を行った結果、Kohonenの自己組織化ニューラルネットワークとDBNNを組み合わせた領域分割法が最も良い分割精度を得ることが出来ることが明らかになった.この方法はかなりの非定常性を有するテクスチャ画像に対しても良い結果が得られており、テクスチャ画像の領域分割問題に対し、大きな戦力になるものと思われる.
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