反Hebb学習則を用いたニューラルネットに関する研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05680301
• 研究機関: 九州工業大学
• 研究代表者: 松岡 清利 九州工業大学, 工学部, 教授 (90110840)
• 研究分担者: 徳成 剛 九州工業大学, 工学部, 助手 (00237075)
• キーワード: ニューラルネット / Hebb則 / 反Hebb則 / 主成分分析 / ブラインド信号分離 / 相関

研究概要

ニューラルネットの学習モデルとしては,Hebb学習がよく知られている.これは基本的には,ニューラルネットを構成する要素間の各結合の強さが,それに関与する2つの要素が同時に活性化するときに強化されるというものである.これに対して,筆者は,通常のHebb学習以外に,その逆のメカニズム(反Hebb学習)の存在を仮定すると,ニューラルネットに種々の機能を持たせることができることに気づき,理論的検討を開始した.
はじめに,Hebb則および反Hebb則に従う線形ニューラルネット・モデルに対して,詳しい数学的解析を行った.その結果,同一モデルのパラメータを少し変えるだけで,ニューラルネットに,主成分分析,ノイズフィルタ,新奇性フィルタの3種類の機能を獲得させることができることが,数学的に証明された.また,計算機シミュレーションによっても.その妥当性を確かめた.
さらに,モデルを修正すると,ブラインド信号分離と呼ばれる機能を持たせることができることを明らかにした.このモデルを実際の音声信号に適用し,複数の音源の分離ができることを確かめた.

研究成果

• [文献書誌] 松岡清利: "ニューラルネットの学習と進化" 計測と制御. 32. 843-847 (1993)
• [文献書誌] Kiyotoshi MATSUOKA et al.: "A Neural Network that Self-Organizes to Perform Three Operations Related to Principal Component Analysis" Neural Networks. 7. 753-765 (1994)
• [文献書誌] Kiyotoshi MATSUOKA et al.: "A Neural Net for Blind Separation of Nonstationary Signals" Neural Networks. (1995)
• [文献書誌] 松岡清利: "反ヘブ則を用いた線形ニューラルネットの学習" 電子情報通信学会論文誌. (1995)
• [文献書誌] Kiyotoshi MATSUOKA et al.: "A Self-Organizing Neural Network for Principal Component Analysis Orthogonal Projection and Norelty Filtering" Proc. World Congress on Neural Networks. 501-504 (1994)
• [文献書誌] Kiyotoshi MATSUOKA et al.: "A Self Organizing Neural Net with Three Functions Related to Principal Component Analysis" IEEE International Conference on sys. Man. Sybn.2. 607-612 (1993)