本年度は、ファジィシングルトン型推論法のファジィ規則の前件部および後件部を同時にチューニングする手法をニューロ技法を用いて与え、ファジィ規則の自動生成を行った。ファジィ規則の後件部実数値については勾配法で調整し、前件部の三角形メンバーシップ関数の頂点と後件部の重みについては勾配法を修正した方法で調整しながら、逐次的にファジィ規則を生成していくものである。ファジィシングルトン型の規則を用いることで、通常の簡略化推論法によって自動生成した場合に比較して、より少ない分割数でファジィ規則が生成できることを数値例を用いて示すと共に、生成したファジィ規則のパラメータ数に基づく考察も行った。 本手法を用いることにより、一次遅れ系に対する制御、並列倒立振子の制御、シ-ソ上のボールの位置制御に対するファジィ制御規則の自動作成に成功し、人間が作成した場合よりもよい制御結果が得られることが示された。 通常のファジィ制御で使用されているファジィ規則は時間的に不変な、静的なものである。ニューロ技法や遺伝的アルゴリズムを用いてファジィ規則を生成し、調整する場合、調整中はファジィ規則は動的なものであるが、実際に使用するファジィ規則は調整し終わった静的なファジィ規則である。ここでは、ファジィシングルトン型推論法の重みを時間的に変化させることによる時間変動型ファジイ推論法を提案し、時変型ファジィ制御への適用を試みた。ファジィ制御規則の重みを時間的に変化させることによって、ファジイ規則だけでなく、ファジィ規則群を他のファジィ規則群へ切り替えることができ、制御結果の改善につながることが示された。
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