研究概要 |
まず,対象図形の形状を自動入力する際の評価に関するデータ収集と分析を行なった.対象図面を各種地図とし,国土地理院の協力を得て,1/25000国土基本図の各種分版を直接スキャナーで読みとったデータを入手した.また品質の異なる2種類の図面として,手書きの地番図面とそれをトレースしたものを画像化したデータを入手した.次に,図面ベクトル化方式の評価を行うための2種類のシステムの作成と改良を行った.一つは,比較の基準とすることを目的として,広く用いられている細線化方式をベースにしたシステムを作成した.他の一つは,申請者らが先に開発した芯線化方式の各種改良を行なった.具体的な改良点は次の2点である. 1.従来の芯線化方式の持っていた「ノイズ重畳部で図形中心線のベクトル化が行えない」という欠点を解消する方式を考案し実現した.2.閉領域(ループ)の情報を得るため,得られた芯線に対し,左右の領域を識別する情報を持たせた.この両システムを対象にして,メモリー使用量,処理速度,ノイズの発生量,等の観点から比較を行い,芯線化の改良システムが細線化方式に対して良好な性能を示すことを確認した. 並行して,自動入力された図形の欠陥を修正する為の会話型システムの試作を行い、その基本機能部分の実現を終了した.本システムは状態遷移モデルと名付けた認識機構をベースにし,申請者らが別途開発を進めている多次元データ構造を核にした幾何情報の管理環境上で実現している.現在は図形認識処理部分を単純なものとし,人間機械対話系の検討に集中するため,比較的単純なシンボル型の回路図面と閉領域で構成された地番図面を対象にして開発を行っている.更に,実用的でかつ複雑な,上記1/25000国土基本図に対象を移し,認識機構の検討を行っている.
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