本研究では大きく分けて、図面自動認識システムの相互性能比較を行うための評価法と、図面自動入力システムの改良の2点について検討を行った。 まず、図面自動認識システムの評価方式については、共通のデータを用いて結果を比較するための基準図面(ベンチマーク図面)を、対象を地図に限定して検討した。ベンチマーク地図は、多数の地図シンボルを含み、かつ典型的な地形という観点で、国土地理院発行の1/25000地形図のうち、「小千谷」と「東京首部」の2枚から15cm×12cmの部分を選定した。また、1/2500国土基本図についても同様に、「鳥取都市計画図」の23cm×18cmの部分を選定した。1/25000地形図については墨(地物)、褐(等高線)、藍(水域)の3分版をスキャナーにより別々にディジタル化したものを用いた。次に、この図面の正解データを作製し、それを用いた図面自動認識システムの評価法を提案した。例えば、線的な成分については読みとり結果を膨張させたデータに対して、正解データを等間隔にサンプリングした点がどの程度含まれるかで一致度(正解度)を測定する方法を採用した。 次に、研究代表者らが従来より開発を進めてきた、輪郭線をベースにした図面自動入力システムの安定度を向上させる方式について検討した。従来方式では、線が複雑に交差する部分等で線図形の中心線が取得できない欠点があったが、これを細線化方式の援用により解消する方式を考案した。また、処理時間、出力品質などの比較を行い、提案方式の優位性を示した。
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