1.視覚障害者の情報検索パターンの解析 健常者が検索を行う場合との違いにしぼって、全盲の検索者からの聞き取り調査をもとに検討を行った。それによれば、コマンド入力方式の場合、検索コマンドの使用には特に差異はないが、入力エラー時の対応と検索結果の出力表示において、現行の検索システムでは困難があることが判明した。 2.視覚障害者への情報提示方法の検討 全盲の検索者の場合には、現在の端末装置では、音声出力装置と点字ディスプレイの2種の装置による情報提示が可能である。音声出力装置による提示では、情報の提示に時間がかかること、どの部分を読み上げているのか判りにくいこと等から、必要最小限の部分のみ読み上げ、不用な部分をスキップする、アブストラクト等の長いテキストについては、指示した時だけ読み上げるようにする等の改良が必要である。また、読み上げ用の辞書の品質により聞き取りの容易さが大きく異なるため、検索用の辞書の整備が必要である。点字を用いた方法については、機器準備等の問題により十分な検討ができなかったため、本年度は音声出力による情報提示方法についての検討に止まった。 3.視覚障害者用の端末インターフェースの設計 解析に使用している筑波大学学術情報処理センターのUTOPIA情報検索システムを対象とした、音声出力による情報検索用インターフェースを、既存の通信用ソフトウェアの拡張として実現するための、外部設計を行っている。全体的に、点字を用いた情報の提示については、使用機器、ソフトウェアの面から即時的な提示が容易ではないため、検討、試行が遅れる結果となった。
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