研究概要 |
本研究は,高度技術化,高齢化という社会環境の変化に対応する1つのアプローチとして,人間特有の創造的機能を発揮させ,また高年齢者でも最先端の機器を容易に操作できるようなマン-マシン・インタフェースを設計するための方法論を開発することを目的としたものである.このような目的を実現するために,本研究では以下の3つのテーマについて研究を行った. (1)人間が知的・認知的作業を行なった時の処理をモデル化する技法を開発し,このモデル化に基づいたインタフェース分析・評価手法を構築した.人間の記憶システムに従った情報の推移に基づいた情報推移モデルを構築し,コンピュータ作業に適用し,その有効性が示された. (2)創造性支援のインタフェースの設計の方法論を開発し,現実問題への適用によりその有用性を検討した.これは生産・経営環境での利用を目的としたものであり,そこで必要とされる創造性支援インタフェースの設計要件ならびに設計指針への展開をまとめた. (3)高年齢者支援インタフェースの設計要因を明らかにし,熟練技能を含む高年齢者の作業パターン,処理特性,心理反応などを作業要因別,環境要因別,そして個人要因別に調査し,作業効率,正確さ,疲労といった側面だけでなく,モチベーション,生きがい,作業の楽しさといったようなメンタルな側面までも充足させるようなインタフェース設計のための指針の構築を行った.さらに,ここで構築した設計指針に対して,いくつかの適用を通じて実験的な検証を行った.
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