OR的アプローチによる生産システムの柔軟性に関する研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05680344
• 研究機関: 早稲田大学
• 研究代表者: 森戸 晋 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50134193)
• 研究分担者: 久保 幹雄 東京商船大学, 商船学部, 助教授 (60225191) ; 十代田 三知男 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70063253)
• キーワード: フレキシブル生産システム(FMS) / オペレーションズ・リサーチ(OR) / 柔軟性(flexibility) / スケジューリング / ディスパッチング規則 / 待ち行列網 / 投入部品選択問題 / シミュレーション

研究概要

1.前年度からの継続研究
1)スケジューリングの柔軟性:FMSに代表される近年の自動化生産システムが有する、自動搬送装置、有限パレット、有限バッファ、品種ロットの存在等の特徴を念頭に置き、総納期遅れのようなロット関連評価尺度と稼働率のようなショップ関連尺度を考慮したときのディスパッチング規則の性能評価と最適化を行った。その結果、主に、(1)SPT(Shortest Processing Time first)規則のような負荷の小さいジョブを優先的に流す規則が、納期関連評価尺度に関しても良い性能を示すこと、(2)ロットの大きさを考慮に入れた簡単なディスパッチング規則が納期関連評価尺度の改善に大きく役立つこと、等を明らかにした。
2)経路選択の柔軟性:一般モデルを構築して、シミュレーションと待ち行列解析によって経路選択の柔軟性の影響を分析した。
2.バッファの柔軟性:FMSの特徴の一つは、バッファの有限性にあるが、有限バッファを想定した待ち行列網モデルに対するYao and Buzacottの解法を用いて、バッファの有限性がシステム性能に及ぼす影響を分析した。また、待ち行列網モデルの結果をFMSのシミュレーション・モデルと比較検討することによって待ち行列網解析の評価も合わせて行った。
3.工具・冶具の柔軟性:FMSでは、工具マガジンの制約から同時に生産可能な品目の数に限りがある。このため、マガジンの容量を越えた生産要求が存在するときに、どの部品をいつ投入するかを決定する投入部品選択問題が重要である。本研究では、投入部品選択問題を最適化問題として捉え、複数のアプローチの比較評価を数理計画法とシミュレーションとの組み合わせによって行っている。

研究成果

• [文献書誌] Susumu MORITO: "An Application of Simulated Annealing for an FMS Dispatching Priority Problem" New Directions in Simulation for Manufacturing and Communications. 197-203 (1994)
• [文献書誌] Susumu MORITO: "On the Robustness of Workload-based Dispatching Rules for a Flexible Manufacturir Syste" Simulation in Manufacturing Systems:Proceedings of the 1st International Workshop WORKSIMS′94. 242-248 (1994)
• [文献書誌] Susumu MORITO: "Dispatching Rules in Automated Job Shops with Multiple Identical Jobs" Advances in Intelligent Computer Integrated Manufacturing System. 136-142 (1994)
• [文献書誌] 高山 裕志: "スケジューリングとTabu Search" オペレーションズ・リサーチ. 40. 47-54 (1995)
• [文献書誌] Katsuki FUJISAWA: "Experimental Analyses of the Life Span Methad for the Maximum Stable Set Proble" Optimization-Modeling and Algorithms. 6(to appear). (1995)
• [文献書誌] 藤沢 克樹: "Tabu Searchのグラフ分割問題への適用と実験的解析" 電気学会論文誌. 114-C. 430-437 (1994)
• [文献書誌] Susumu MORITO(ed.): "New Directions in Simulation for Manufacturing and Communications" Operations Research Society of Japan, 547 (1994)