本研究では設計・生産・物流リ-ドタイムの短縮、生産機能の市場への適応性と経済性向上を目的とした生産・在庫・物流管理システムを開発するために、需要の条件、工程の条件および管理の条件を前提に工場操業度、輸送量および在庫量の解析を行い、以下の成果を得た。 1.工場、輸送待在庫点、輸送経路および物流在庫点から構成される物流ネットワークを対象に、市場における確定需要を満たす生産および輸送計画量を決定するためのネットワーク・フローモデルを構築し、生産、輸送および在庫の各コストからなる総コスト最小化問題の最適解を導く解法アルゴリズムを開発し、所望の計算時間と精度で問題を解き得ることを確認した。 2.製品間同一レベルの部品共用化として、標準部品とオプション部品とからなる複数品種製品を対象に、需要量の変動比率、自己相関の強さおよび負荷率の種々の水準の下で、オプション部品の安全在庫量が製品・部品在庫量と各工程の負荷量変動におよぼす影響を解析し、オプション部品の安全在庫量が在庫量と負荷量変動、工程間の在庫量変動、負荷量変動に対してトレード・オフ関係を持つことを明らかにし、これを解消するためにオプション部品の安全在庫に工程稼働時間余裕を組合せた複合緩衝システムを組込んだ生産指示方式を提案し、その制御方法を明らかにした。 3.市場要求の変化に対し、製品開発・工程設計・生産計画が適応するためのシステム分析法として、製品開発過程におけるユーザーニーズ、製品設計、工程設計の関係を商品特性、技術特性および工程特性とその展開過程として表現する製品特性展開法とファミリーツリー分析法を提案し、塗装機械と織機の事例に適用し、ユーザーニーズ、部品構成、工程設計および工程管理項目との関係を明らかにしえた。
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