研究概要 |
八ヶ岳および妙高火山群(飯綱・黒姫・妙高・焼山)における地質時代の14岩屑なだれ、歴史時代の4ラハールの特性(岩相・堆積様式・体積・発生源・時代・発生因)を詳しく明らかにした上、とくに岩屑なだれの発生頻度を見積もった。 これらの地域では、過去1万年間に体積0.1km^3以上の岩屑なだれが5回発生しており、したがってこの規模の山体崩壊の発生頻度は平均2千年に1回である。それらのうち最大規模のものは、妙高火山7,800年前の田口岩屑なだれである。岩屑なだれの発生因としては、地震動の可能性を否定できないが、水蒸気爆発がより可能性が高いと考えられる。八ヶ岳における岩屑なだれの発生の可能性は、当面は低いと考えられるが、妙高最後の岩屑なだれは2,700年前に発生しており、すでに平均発生年限を大きく上回っていることが注目される。 ラハール、とくに二次ラハールについては、八ヶ岳・妙高火山群とも常に警戒が必要である。 以上の結果は、詳しく火山形成史が解明されている火山体をモデルケースとして行って得られたものであって、火山災害の防・減災指針を見出だす上で、貴重な成果である。
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