研究概要 |
本研究の目的は、厚い堆積層上と基盤上における強震動および微動の同時観測を通して地盤の震動特性を明確にすると共に、地盤が強震動におよぼす影響を把握し強震動の予測を行うことにある。さらに、微動と強震動との関係を明らかにすることである。この研究目的遂行のため以下の3点が計画された。 【.encircled1.】従来の微動観測結の見直し、【.encircled2.】基盤・地盤上における微動の同時連続観測より振幅比の定量的な把握、【.encircled3.】基盤・地盤上における強震観測である。【.encircled1.】【.encircled2.】の結果、地盤上における微動の卓越周期については、1973年以来同じ場所で数回観測された結果と変化は認められなかった。微動の卓越周期はいくらかのゆらぎはあるものの非常に安定していることが確認された。また、微動の振幅比(地盤/基盤)は構造モデルから計算された結果と比較すると約2倍弱であるが、今回の観測から卓越周期付近における顕著なピークは見られなかった。【.encircled3.】の基盤・地盤上における強震観測の結果、地震記録のS波部分のスペクトルの振幅比(地盤/基盤)は微動の卓越周期とほぼ同じ周期に十数倍の値を持ち、明らかに地盤の影響が見られ、構造モデルから計算された結果と傾向は一致していることが確認された。【.encircled1.】【.encircled2.】【.encircled3.】の結果より結論される事は、微動の振幅比(地盤/基盤)からは強震動と微動の間には良い相関が認められなかったが、強震動の振幅比と地盤上における微動の卓越周期との間には非常によい相関があることが判明した。これらの原因については今後の課題として残っている。しかし、地盤の強震動に与える影響に関してははほぼ研究目的通りの成果が得られた。なお、これらの成果はは1993年10月地球惑星科学関連学会(鳥取市)、27th IASPEI'94(Wellington,New Zealand,)において発表した。今回、開発した地震観測用のソフトも順調に機能している事が確認された。本研究費により購入した速度型強震計は現在も地盤上において観測中である。
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