衝撃波力の作用により直立構造物がどの様な挙動を示すかを検討するため、構造物部材としての壁面の変形に着目して実験を行った。 変形する直立壁に作用する衝撃波圧(波力)の基本的特性は剛壁体の場合とほとんど同じであるが、衝撃波力の立ち上がり時間が壁体の固有振動周期と同程度以上となると、作用波力が若干増大する。また、壁体変形と作用波力との関係から、最大変形は単発型衝撃波力より低い減衰振動型波力で、波力の立ち上がり時間と壁体の固有振動周期とがほぼ一致する条件、すなわち共振条件のもとで発生することが明かとなった。この結果は、堤体破壊過程を考える場合には、最大作用波力よりも波力の力積が大きい衝突条件を、構造物設計条件とすべきであにという極めて重要な知見で、これまでの研究では明確に指摘されていない事柄である。 先に述べたように、作用波圧(波力)特性は砕波の衝突条件に支配され、剛壁体の場合と同一であることを考慮して、モデル波力として衝撃波力の変動性を取り込んだものを確定する必要がある。そこで、波圧、波力、衝突時に連行される空気塊形状などの発生確立分布特性を検討し、それらが対数正規分布関数で記述できることが明かとなった。 平成6年度の研究は、前年度の実験結果を踏まえて直立堤体模型を改造して、より実際の衝突条件に近い状況の下で堤体破壊の実験を行う予定である。
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