1.m=0モードのアルヴェン波をローカルに励起するためのアンテナを開発した。 2.イオン-中性粒子の衝突が無視できないプラズマ媒質中において、アルヴェン波の異常分散特性が発見された。それは、m=0モードのシア・アルヴェン波からm=+1モードの圧縮アルヴェン波の分散曲線につながる特性である。 3.この異常分散領域における複素屈折率の測定より、複素誘電率に対し、Kramers-Kronigの関係が成立することが明らかになった。物性物理分野ではこの関係は有名であるが、プラズマ分野での検証は本研究が初めてである。 4.この異常分散領域においては、いわゆる群速度(〓ω/〓κ)ば光速を越え、無限大あるいは負になるが、これは相対性理論の立場からもおかしい。そこで波束の伝播を詳細に調べた。 5.その結果、この領域においては、波束が崩れ二つに分かれ互いに干渉していることが分かり、波束の周波数成分の内、共鳴吸収振動数近辺では強い減衰が起きていることが明らかになった。 6.これらの実験結果より、従来の群速度の定義は間違っていると判断した。よって、実験結果と新しい理論との比較検討を行い、1960年代より問題となっていた異常分散領域での群速度の発散問題の解決へ向けて研究を進めることが今後の課題である。
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