研究概要 |
絶縁ギャップを有する金属放電管を利用した新しい静電的ヘリシティー入射法の可能性を探るために,STE-2RFP装置において以下の研究を実施した。 (1)トロイダル磁場に空間的変調をかけて2分割放電管を共通に貫く磁束をつくり,これがRFP放電へ及ぼす影響を調べた。変調磁場が元のトロイダル磁場と逆向きの場合,RFP放電に悪影響を与える変調レベルは同極性の場合よりも低くなることが分かった。周辺部のトロイダル磁場分布測定によりこの原因を明らかにすることは次年度の課題である。 (2)低電流ULQ放電において,本研究で提案している方法に基づいてDCヘリシティー入射を行った。放電管ギャップ近傍の局所的な測定では最大20%のトロイダル電流の増加が観測された。トロイダル方向4箇所での電流および磁場分布の測定とこれに基づく電流増加機構の検討は次年度の課題である。 (3)非円形断面RFP(セパラトリクスはない)において,周辺部に電極を挿入して静電的ヘリシティー入射を試みた。(放電管およびポート形状により電極は8φの円筒構造に制限され,また,入射位置も同一ポロイダル断面内の外側と下側に制限されている。)電源充電電圧で400Vまで印加し,電極間電流として100A程度が得られた。電流密度はRFP放電の平均トロイダル電流密度と同程度である。電極近傍ではヘリシティー入射に伴うトロイダル磁束の増加(5%程度)が観測された。この増加は入射ヘリシティーの極性によらない。従って,入射ヘリシティーの極性によりプラズマの応答が異なるのか,あるいはエネルギー入射が磁束増加にとって重要であるのか,のいずれかである。周辺トロイダル磁場およびポロイダル磁場にはヘリシティー入射の影響は観測されなかった。 (4)次年度は円形断面放電管において電極による入射配置の最適化を行い,RFP放電における新しい入射法との詳細な比較実験を行う予定である。
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