研究概要 |
円形自由電子レーザとは一様磁界中を円運動する相対論的電子ビームに、周方向に周期的な構造を持つウイグラ磁界を印加して小型化させた,コンパクトな自由電子レーザである。この装置を用いると,数百keVの回転電子ビームを用いることによりマイクロ波,ミリ波からサブミリ波に至る電磁波を発生できる。低次 外径140mm,内径110mmの同軸導波管に長さ200mm,12周期のウイグラ磁界を配列した円形自由電子レーザの発振動作を確認した。250〜400keVの運動エネルギーをもつ相対論的回転電子ビームを用いることでマイクロ波からミリ波(11〜40GHz)の電磁波を離散的に可変させながら発生できた。Ku帯の発振スペクトルは帯域幅40MHz程度と非常に狭帯域である。周波数測定と遠方放射界測定から,理論的に予想される同軸導波管のTM(p,1)モードの発振であると同定された。Ku帯の放射出力は約1.8MWであり,そのエネルギー変換効率は約4.5%であった。 以上の結果より,円形自由電子レーザの基本的動作が理論的に予想されるものによく一致しており,小型コンパクトで大出力なマイクロ波,ミリ波源になり得る可能性を持っていることが明らかになった。
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