本研究は並列計算機を用いることによりプラズマ非線形物理学のシュミレーション研究に一つのブレークスルーをもたらすことを目的としている。具体的物理課題としては核融合研究にとって緊急性があり、しかも大規模シミュレーション研究が不可欠なテーマとして、非軸対称トーラスの三次元磁気流体平衡安定性及び非軸対称系における自己組織化・緩和現象の解析をめざしている。本年度はこれまで開発したHINTコードを土台として、フルトーラス配位における磁気流体の非線形時間発展のシミュレーション研究が可能な新しいコードを開発した。並列計算機による核融合プラズマ超大規模シミュレーション研究という未開拓の分野を推進するため、問題点の発掘から研究を開始した。非軸対称トーラスプラズマのための新しいシミュレーションコードは、基本的な部分の開発を既に終えた。いくつかのケースについてテストランを行い、数値的不安定性の原因を詳細に解明した。現時点で既に具体例で研究を開始することができる状態にある。しかし、多大な計算時間を必要とする事が問題となっている。また、HINTコードを用いていくつかの新しい配位で解析を行い、磁気島のself-healingという我々がこれまで数値的に発見した現象が不安定なプラズマ配位でも起こり得ること、従ってプラズマ電流のグローバルな考課が物理機構として重要であること、さらに非共鳴不安定性の励起が3次元平衡解の構造に大きな影響を与えることがあるという興味深い現象を新たに見いだした。さらに、これらのコードで使用しているアルゴリズムと並列計算機との整合性を調べ、近接作用という物理原理をそのまま保った定式化を行っている部分については並列処理が極めて有効であること、しかし多数の演算装置を用いる多重並列処理の場合には演算装置間のデータ転送方式と速度が総合的な計算速度にとって極めて重要な要素であることを見いだした。
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